片道2時間。





その時、前澤の携帯が鳴った。



前澤が名前を確認したとたん、顔をしかめる。




…もしかして、幼馴染?




「…せっかく来てくれたのにごめん、俺…」



「いいよ、行っても。私ももう帰る」



「有紗にはちゃんと言っておく。メールできるようになったら、必ずするから」






その言葉で十分だよって、いえる彼女になれたらいいのに。






「じゃあ、また」






前澤は急いで出ていく。





伸ばした右手は、宙をつかんだ。