「ていうか、その女に言ってやればよかったのに。お前こそ彼女ヅラすんなよって」 「あの時は茫然としてたから。…今なら戦えるよ」 「戦闘かよ」 結局あの人は誰なのか分からないまま。 今月は前澤の顔を見れなかった。 「由佳が佐野くんに言って、前澤にメールしてもらうことになった」 「お前はメールしないの?」 「したけど、結局なにも返ってこないまま」 あれから何度もメールを送った。 でも、やっぱり私の携帯に『前澤伊織』の文字が出ることはなかった。