片道2時間。




「ていうか、その女に言ってやればよかったのに。お前こそ彼女ヅラすんなよって」



「あの時は茫然としてたから。…今なら戦えるよ」



「戦闘かよ」





結局あの人は誰なのか分からないまま。



今月は前澤の顔を見れなかった。





「由佳が佐野くんに言って、前澤にメールしてもらうことになった」


「お前はメールしないの?」


「したけど、結局なにも返ってこないまま」



あれから何度もメールを送った。




でも、やっぱり私の携帯に『前澤伊織』の文字が出ることはなかった。