はじめての温度。 はじめて、前澤に抱きしめられた。 前澤の体は冷たくなっていて、私は温めるようにぎゅっと抱きしめ返した。 「ごめん、俺別れたくないよ。遠距離はきっとすごく辛いと思う。鳴海にも我慢ばっかりさせちゃうと思う」 前澤の体は震えていた。 声も、鼻声。 寒いのか、泣いているのかわからない。