雨の日は大声で歌をうたおう

カフェを出ると携帯電話が鳴り、
まだ仕事は終わらなそうだけど、どうする?
って聞かれた。
私は、待ってます、と答えた。

浜松町の街は、小雨が上がったばかりで、アスファルトが濡れていた。
カフェも出てしまったし、コンビニで時間を潰そうか、と思った。
東京タワーが濡れているせいか、ぴかぴかに光って見えた。

結局、21時過ぎにやっと好きな人に会えた。
遅くなってごめん、いえ大丈夫です、お腹すいた?それはもう。
銀座まで出て、銀座だけに、銀座ライオンというどこにでも支店があるビアホー
ルに入った。
好きな人は黒ビールを頼み、美味しそうに飲んだ。
一口味見させてもらったら苦かった。
ソーセージの盛り合わせ、とチーズフォンデュを頼んだ。
彼は、以前一緒に飲んだ時、チーズの盛り合わせを頼んだから、
チーズが好きなんだろうと私がチョイスした。

季節は2月の寒い夜だったけれど、酔っ払って身体はぽかぽかしていた。
酔った振りをして腕を組んでみたけど、好きな人は腕を外そうともせず、そのま
まにしてくれた。
空を見上げると月がまんまるできれいだ、と思った。

別れ際にポケットからメモを渡した。
後で読んで下さい、とかなんとか言って。