雨の日は大声で歌をうたおう

【アパート】
友情関係を結んでいる男の子との交流で延長線上に、
恋愛はあるのか?ありえるのか?というお話。

私の勝手な理論なので、深くつっこまないでください。

大学時代にYくんという友達がいた。
雑文に書いたが、私は実技(書道)のみの特別選抜という大層な名前の試験に合格し、入学した。
Yくんも特別選抜枠で入学していた。
彼の書く字は流派(この世界には沢山の流派があるのだ。それは複雑に入り組んでいる)が違うので、
正直上手いのかどうかよくわからなかったけど
書道界のあれこれに詳しくて、
私もオタク的にいろいろな情報を仕入れている途中だったから
こいつなかなかやるな!
なんて思ったのが第一印象。
若かったんでイキがってたあの頃だったが
毎晩誰かの家に集まって、飲んでだべって書きまくっていた。
Yくんは私に時々お説教をした。
内容は忘れたけど、多分もっと練習しろ、とか真面目にやれ、とかそんなの。
そして私のことを「キミ」と呼んだ。
いつも私よりずっと上の方にいて、
何か偉そうな口調でお説教をした。
そしてお説教をしながら、私を褒めた。
少し自惚れるなら、Yくんは私のことを好きだったんだろう、と思う。
そして私も何故か彼を好きだった。

ある日、夜遅かったと記憶するが私のアパートを訪ねてきた。
泊まらせて欲しいと言う。
明朝早起きをしないといけないけど、
起きられないから、泊めて、と。
私は断った。
理由は部屋があまりにも散らかっていたから。
もし散らかっていなかったら、私は彼を泊めたと思う。
そして私達は、きっと関係を持っただろう。
自分で言うのもなんだが、そういう雰囲気に持っていくのが上手なのだ。
でも私は彼を泊めなかった。
その代わり目覚まし時計を渡した。
彼はしつこく言い寄ってきたけど
嫌、って言った。
だって部屋が散らかってたのだもの。


私の考えでは、一度でもセックスをしたら
友達ではいられない。
恋人として付き合うか、それとも友情を破綻させ、付き合いそのものを止めるか。
友達として付き合っていきたいなら、セックスはするべきではない、と。

私は1回だけあったYくんとやる機会を蹴った。
だから今でも友達である。