最後の夏 ~十年の想い~



*ユイトside*


……殺さないで…!!


彼女のその声を聞いて、俺はハッとして慌てて
腕を放した。


(なにやってんだ、俺……!)


アイラの過去を一番知ってるのは、俺なのに…
…!


*****

「ママ、ごめんなさいっ!!もう、もうしないから……っっ!」


隣の家から聞こえてきた女の子の叫び声。


母さんが慌てて外へ飛び出していった。


俺もその後に続く。


「岡本さんっっ?!岡本さん、飯野です!ここあけてっっ!」


母さんのあんな必死な顔を見るのは初めてで。


ガキの俺にも、何か大変なことが起こっている
んだと分かった。


「……ごめっ、ごめんなさい……っっ、お願い、殺さないで!嫌だよ、殺さないで……っっ」


母さんの顔がサッと青ざめる。


「アイちゃん?!アイちゃん、どうしたの?!大丈夫っ?」


ドンドンと扉を叩きながら母さんが叫ぶ。