ガシャンッ_____

「ひぃっ・・・」



「・・・?」
物音と、悲鳴で目が覚める。
カーテン越しにうろうろしているのが分かる人影。
何割ったんだよ、先生。
30過ぎた人の悲鳴とは思えないんですが。

「ちょっと、先生?
何割ったか知らないけど悲鳴が若々しすぎ。」

冗談で言ったその一言に、
その人影がビクッと震える。
いつもなら「うるさいわね、私だって女子よ!」と、
言い返すであろう先生らしくない。

「なんで黙るんすか?変なのー・・・・」



シャッ



「っ、」

「・・・・あれ・・・?」




カーテンを開けると、
そこにいたのは先生ではなく、
見慣れない女子で。

驚いたような真ん丸とした目で俺を見てた。

・・・普通に可愛い。
いや、小動物的な意味で。



その子の下には音の正体であろう花瓶が割れていた。

緑のタイだから・・・一年?
あー・・・そーいえば、
なんか保健室通いの一年が隣のベッドいるって言ってた気がような。


「あ、・・・えと、大丈夫・・・じゃないよね。」
「すいません・・・。」
「とりあえず・・・それ、片付けようか。」
「は、はいっ・・・。」


焦ったようにしゃがみこんで
破片を拾いだそうとする彼女。


「ちょっ・・・」
「っ、」


焦って彼女の腕を握る。


「な、なんですか・・・?」
「いや、バカなの。素手は危ないでしょ。
保健室で怪我するってないでしょ。
・・・俺やるから、そこでおとなしく座ってて。」
「・・・はい。」


シュン、とした態度で俺の指差した椅子に座る。
お、俺が悪いのか今のは。
てゆうか、説教って、俺、歳いくつだっつの。



掃除機を持ち出して掃除を始める俺を、
申し訳なさそうな彼女が見てた。



・・・大人しい子犬。
これが彼女の第一印象だった。