君の一番になりたくて

「え、何で俺の名前・・・。」
不意に疑問が口に出る。
そんな俺を見て、
「えっと・・・私、玲の友達で、
ユキ先輩の後輩の糸野千恵です!」
ニコッと笑うその子は、
玲とはまったく違うタイプの子で、
後ろになびくポニーテールが、
弓道部っぽいなと思った。
「あぁ、糸野さんか。」
「はい、宜しくお願いします。」
ぺこっと礼儀正しく礼をされる。
この子が俺の名前知ってるのって、
もしかしたら、玲が俺の事話したからかな・・・なんてな。
そう考えると、頬が緩んだ。


「・・・あの、玲は・・・。」
「あ、今日玲休みだよ。」
「あ、そうなんですか。」
どうしよう、と悩む彼女。
手には茶色い封筒。
「その封筒、玲に?」
「あぁ、そうなんです。
今週分のプリントです。」
どうやらその中には課題のプリントや授業プリントが入っているようだった。
「そういえば、玲ってさ。」
「はい?」
「成績とか・・・大丈夫なの?」
保健室登校じゃ、
授業もついていけてないかも。
そう思っていた俺に、
「いや、あの子、
学年首位ですよ、あれでも。」
「は?!」
思わぬ真実が降りかかってくるものだから・・・、
「っ、・・・ククッ、ハハハッ、」
「え、ハル先輩?」
「ククッ・・・ごめん、
だいぶ笑いのツボだった。」
「・・・はぁ。」
俺は思わず笑ってしまって、
それに呆れた様子のこの子もつられて苦笑いしていた。


「あの、今日の放課後、私、玲のとこ行くんで先輩もどうですか?」
「え?」
「お見舞い兼、届け物です!」
ドヤッとした顔で俺を見る糸野。
「行く。」
即答すると、一瞬驚いたような顔をしたが、また苦笑いをして、
「はい、では、放課後校門で。」と言った。
「ん、了解。」
そうして、そのまま俺は朝の教室に向かった。


「・・・。」
その後ろ姿を、
切なそうな目をした、
糸野が見てるとも知らずに。