思い出したのは、手紙の内容だけじゃなかった。 その時の気持ちも、あのルームウェアに込めた愛も・・・ 俺は思い出した。 あのルームウェアを着た由香が、俺に温かいコーヒーを入れてくれたこと。 その後ろ姿を、思わず抱きしめてしまったこと。 由香は、最後の夜・・・どうしてあのルームウェアを着たんだろう。 俺達に、やり直すという道はまだ残されているのだろうか。 夜風が不気味な音を立てて、俺の体を押し戻す。 俺は、風に逆らわず、後ろを向いて歩き出す。