俺は涙がバレないように、コーヒーカップを手に持ってベランダに出た。 星が綺麗な夜だった。 俺は言えなかった。 でも本当は言いたかった。 『やり直したい』って。 その一言がどうしても口から出ない。 少し酔っているせいで、冬の夜風が心地いい。 由香が風呂に入っている間、俺はずっとベランダで星を眺めた。 寒くはなかった。 寒いのは体じゃなく、心だった。