12時のチャイムが鳴った。


いつもはすぐに昼食に出かける男性社員が、なかなか机から離れない。


部長をちらっと見ると、部長は苦笑いをして、お腹を押さえて、『腹減った!』って顔をした。


10分が過ぎ、荒海部長が席を立った。


私の横を通り過ぎる時に「ちょっと来て」と言った。


私は事務所から出て、自動販売機の前にいる部長に近付いた。



「弁当持って、屋上来てや!もう俺の腹、限界やから!」


にこっと笑った顔が子供のように無邪気でかわいかった。


今日に限って仕事熱心な男性社員のおかげで、私は荒海部長を屋上でお弁当を食べることになった。


「2人で食べてて大丈夫ですか?」


「あくまでも、上司と部下って顔して食うで!仕事でミスした部下の相談に乗る優しい部長って設定な!」