そんな私の耳に届いた嬉しい噂。



『荒海さんってバツイチらしいよ!』



同期であり、親友でもある秘書課の枝松由香からの情報に、私の胸は躍り狂った。



その噂がもし本当なら・・・

私、めちゃめちゃ頑張っちゃう!!



でも、毎日お弁当を持参する部長は、どう見ても既婚者。


彼に憧れる誰かが、願いを込めてそんな噂を流したに違いない。



私の恋心を知っている由香は、情報収集に走り回ってくれた。


そして、その噂が真実だということを知る。



「俺、バツイチやで!嫁に捨てられたかわいそうな俺を誰か慰めてや~!」



飲み会で部長はそんなことを言って、みんなを笑わせた。



「荒海部長は、お弁当自分で作ってるんですか?それとも、若い彼女でもいるんですか?」



エビチリを美味しそうに食べてくれた部長はお弁当を手に持って、私の隣の席に座った。


「あははは。そうそう、ピチピチの彼女が毎朝・・・って、そんなわけないやろ!俺は、節約の為に自分で弁当作ってるだけ。でも、意外にうまいねんで。食う?」