もしかしたら、誘ってもらえるんじゃないかって少し期待していた私は、黙って部屋を出た部長の背中を見て、泣きそうになった。


特別な存在になれたって勝手に思っていた。


他の女子社員よりも近付けたって思っていたんだ、私。



その日の夜、部長からメールが届いた。


こんな時間にメールが来るのが初めてで、私はお風呂から上がって、パジャマを着ることも忘れて、メールを読んだ。



【パーティー、一緒に行ってくれへん?】



携帯電話を握り締める手に力が入る。


信じられない。



私は温まった体のままベッドに潜り込み、部長の笑顔を思い出す。


そして、何度も何度もそのメールを読んだ。


ふとんから顔を出し、水色のカーテンをめくると、夜空には美しい月が浮かんでいた。



「山口、ほんまにパーティーOKなん?ごめんやで。」

曇り空の下、2人でお弁当を食べながら部長が言う。


「謝らないでください!!すっごく嬉しいです。美味しいもの食べたいから、ぜひ連れて行ってください!」


私と部長の距離が少しだけ、縮んだ気がした。

でも、部長は、かわいい部下として私を見ているだけで、女として、見てはくれていないんだ。