花の名は、ダリア


「不完全なアナタに見せてあげる。
アナタの言う『完全』が、どんなモノか。」


カシラのトラウマをさらに抉ったダリアが、血が滴る傷口に、斬られた腕の切断面をグっと押しつけた。

それから…

それから…

それから起こったことは、その場にいた全員が我が目を疑う光景だった。

流れ出ていたダリアの血がうねる。
血液そのものが意思を持っているかの如くうねる。

うねり、傷口を覆い、次第に吸い込まれるように消え…


「ほらね? くっついた。」


ダリアの無邪気な言葉通り、彼女の右腕は元の場所にあった。

血は消えた。
傷も消えた。

透き通った白い肌から、斬られた事実そのものが消滅した。

あまりの出来事に、女たちは悲鳴を上げることも忘れている。

ポカンと開いたソージの口からも、言葉どころか咳も出ない。

唯一、カシラだけが…


「『ノエル』…」


震える声を喉から絞り出し、刀を落として跪いた。

そして、残った片腕をダリアに差し伸べる。


「あぁ、我が主『ノエル』。
我らが神『ノエル』よォォォ。
どうか貴方のシモベに永久なる生をお与え下さいィィィ…」