キーっっムカつくっ、なんつって、ダリアが小さな足を踏み鳴らす。

あぁ、可愛い。
ニヤニヤが止まらない。

次は、是非とも啼かせてみたいモンだ。


(まぁ、次なんてねェケド。)


そんな場合でもないし、タイムリミットも近いし。

苦く笑ってダリアから目を逸らしたソージは、微妙に揺れながら立ち尽くしているカシラを見上げた。

コイツ…
なんかオカシィよね?

結構悠長にお喋りしてるのに、ナニもしてこないし。

口開けっパで血と涎垂れ流しっパで、なんか唸ってっし。
目なんて、白目っつーか白濁してンじゃね?ソレ。


「…
逃げてみますか?」


ガラリと口調を変え、ソージはダリアに囁いた。


「無理よ。」


ダリアも頬を引き締め、囁き返す。


「脳細胞はイっちゃうンだケド、本能は残るの。
餌が逃げようとしたり、攻撃しようとしたりすれば、すぐに反応するわ。」


「詳しいですね。
お知り合い?」


「捜してた人なの。」