ダリアの隣に滑り込んだソージが振り返ると、カシラは平然と立っていた。

傷つけたはずの膝には、一筋の赤い線が走るだけ。

逃亡アウトローが言った
『カシラの傷が塞がって…』
という言葉は、本当だった。

本当だったのはわかったケド…


「どーゆー仕組みだ?」


刀を支えに片膝立ちになったソージは、額に浮かぶ脂汗を手で拭いながら呟いた。

答えは上から降ってくる。


「アレも仕様よ。
人間の血肉を摂取し続ける限り、あの肉体は滅びないの。」


ついでに、お怒りの声も降ってくる。


「もう!
どうしてそんな身体で、こんなトコまで来ちゃったの!?」


「あらら。
やっぱり迷惑でした?」


「え?う? ぅー…
め、迷惑よっ!」


迷うように言葉を詰まらせた後、プゥっと頬を膨らませてソッポを向いたダリアを横目に見て、ソージはニンマリと笑った。


「へー…
可愛い反応だなァ…
もっと迷惑かけたくなっちゃいますよ?」


「むぅぅ… 怒ってるのに!」


「えぇ、怒らせてるンです。」