サムは、『穢れし者』の体内に直接UVランプを埋め込み、対『貴族』用の閃光弾に仕立てた。

そしてその不自然さに気づく暇を与えないよう、自らを囮にした。

ハイ、まんまと引っかかりマシタ。
こりゃ完敗だわ。

ソージが刀を握り直すが、さすがに光は斬り裂けない。


(ダリア…)


一時、辺りに真昼が訪れて…

そして、去った。

遮光率100%の生地で出来たマントからそっと顔を出したサムは、静まり返った周囲を見渡した。

誰もいない。
斬撃も降り注がない。

あの男は塵になった。

長く深い溜め息を吐いて、傷だらけの身体を起こす。

栄養補給しなくっちゃ。

血を求めて山を下りようとしたサムが、ビクリと肩を揺らして動きを止めた。

足元に、一振りの刀が落ちていたから。
持ち主を失って尚、澄んだ輝きを放っていたから。

あの男の瞳と同じ…

栄養補給は明日でもイイかな。
今日は一先ず自分のテリトリーに戻って、心を落ち着けようかな。

植えつけられた恐怖はあまりに根深く、全くもって勝った気がしない。

それでも。

ねェ、『ノエル』。
君にはもう、僕しかいない。