今の自分は、彼のように自信を持ってそんなコトが言えるだろうか。

今ある命を捨て、新しい命に縋りつこうとしていた自分は…


「私もやってみせますよ。
あなたみたいに悔いはないと言えるよう、今の私を目一杯生きてやりますよ。」


再び顔を上げたカオリが、負けん気の塊のような顔で断言すると…

ダリアが嬉しそうに、うふふ、と笑う。
そんな彼女を見て、ソージも唇を綻ばせる。

なんだかお似合い…


「よし、頑張れ団長。
電波極めりゃ、宇宙人にも遭えンだろ。
じゃ、始めンぞ。」


そーじゃねェェェェェ!!??

と、ツッコみたいケド、時既に遅し。

サラっと作戦決行の号令を出したソージが、ダリアを抱えて上へ、そしてバケモノに向かって鍋を、どちらも放り投げたから。

木の枝を掴んで華麗に一回転したダリアが、空を駆けるように枝から枝へ跳び移り、山を下っていく。

鍋を腕で弾き飛ばして唸るバケモノに、刀を抜いたソージが斬りかかる。

完全に電波を弁解する機会を失ってしまった。

てか最後なんて、フっときながらあえて弁解の機会を潰しやがったろ、あの性悪男!

思い切り舌打ちして、だがどこか吹っ切れた表情で。

夜の帳が下りた山の中を、カオリはまだオロオロするタナカを引っ張って走り出した。