「修験者が殺されたコト言ってンの?」
「いえ…
修験者のコトではあるンですケド、イベント中じゃなく、会場に向かう途中で…」
カオリさんは伯爵と一緒にガッツリスモークの外車に乗ってたから、知らないでしょ?と前置きしてから、タナカはさらに声を落とした。
あの日、眠らせた修験者を乗せてシーツですっぽり覆ったストレッチャーを、トラックのコンテナに積み込んだ。
そのコンテナには、タナカを始め数人の男たちが乗り込んだ。
それから会場に着くまでの修験者の様子を、カオリは確かに知らない。
眉根を寄せるカオリから目を逸らし、辺りに視線を走らせてから…
「見てください。」
タナカはシャツの袖を捲り上げた。
逞しい腕に巻かれた血の滲むガーゼに、カオリが息を飲む。
「え… ソレ…」
「修験者に噛まれたンです。
歯型もバッチリですよ。
ガーゼ取りましょうか?」
「結構デス…」
移動中、修験者は一度目を覚ましたらしい。
そして、その場にいた男たちに噛みついたらしい。
そりゃもう、狂ったように無差別に…



