花の名は、ダリア


修験者は定期的に募られる。
それ以外にも、伯爵直々の指名で修験者となる者もいる。

彼らが老若男女分け隔てなく一丸となり、共に煩悩と闘う場所が、合宿所の地下にある修行場だ。

…と、教えられている。

もう結構な人数になるが、出てきた者は、あのイベントの日の一人だけ。

他の者は皆、まだ時が満ちていない。

…と、教えられている。

静かで落ち着いた環境でなければ闘いが長引くので、修験者じゃない者は地下に下りてはならない。

…と、教えられている。

修験者になるのは名誉なコト。
決して罰などではなく、『使徒の国』の民になる近道なのだ。

…と、教え… 伝聞ばっかで泣けてきた。

なのに今のタナカの話じゃ、禁を破った者を閉じ込めてるみたいじゃない。

教えと違うじゃない。

そんなの、まるで…


「口封じじゃない…」


カオリが思わず呟いてしまった言葉に、タナカの目がさっきよりも大きく見開かれる。


「まさか、カオリさんまでそんなコト言い出すなんて…」


「どーゆー意味よ?」


「いや…
誰よりも、伯爵を信じきってるように見えたから…」