花の名は、ダリア


「おまえはバカだ。
甘言を鵜呑みにした挙げ句、得意気にハトるバカだ。
おまえなんかにゃTウイルスは作れねェよ。」


「バカはおまえだ。
バイオエネルギーっつったろーが。
全てのバイオがハザードしてると思うなよ。」


相性の悪い二人が、お互い『バカだ』『バカだ』と罵り合う。

バカ言うヤツがバカなンだから、どっちも等しくバカですよ。

とうとう空気を読んだ賢いダリアさんなんか、とばっちりを食らわないよう、豚汁の鍋を抱えてちょっと後ろに避難しちゃったじゃねーか。

そんなダリアをチラリと振り返って。
具材の旨みがたっぷり染み込んだスープを一口飲んで、気を落ち着けて。


「あのさー…
進歩だとか発展だとかいうのは、有限を積み重ねた先にあるモンなンじゃねェの?」


ソージは穏やかな声で話し始めた。


「命には限りがあると知ってるからこそ、人間は思考を止めず努力を怠らない。
残された時間の可能性を捨てて、『来世に期待☆』なんて考えてるおまえにゃ、いつまで生きてもなーんも生み出せねェよ。」


「なっ!?」


「まぁ、最後まで聞けよ。
次はなんだっけ?
ガキの病気が治れば、家族揃って幸せに、だっけ?」