花の名は、ダリア


ソージは最後の一言を、口の中で低く呟いた。

サクっと終わらせて、ダリアを抱かなきゃ。

煽られた熱が身体の中で暴れ狂って、もうすぐ焼死危機だわ。

ドアの前まで走ったソージは、ボタンに指を乗せて待機するダリアと視線を絡めた。

お互い、軽く頷いて。

カウントダウン、スタート。

ステージの袖に駆け込んだソージは、瞬時に状況を把握した。

突然ステージ上に現れた、涎を垂れ流しながら唸る白濁した目の男に、イベント参加者は叫び声を上げていた。

とはいえ、ソレは歓声。
演出の一部だと思っているようだ。

無理もない。

参加者の中には、似たようなモンスターコスをしたヤツもいるのだから。

だが、ステージ上でマイクを握りしめている女だけは、本気で顔を引きつらせていた。

まぁ、ソレも無理ねェわな。

打ち合わせで聞いていない舞台装置がせり上がってきて。
打ち合わせで聞いていない変な男が登場して。

その上ソイツときたら、遠目にはわからないが、近くで見ればとてもコスプレとは思えない異様な風体なのだから。

非常事態に気づいているのは、女だけ。

悪ィケド、今から打ち合わせしてる暇はねェわ。
これから見るコトは、好きに解釈してくれてイイよ。

ソージは腰の刀を抜き放ち、ステージに躍り出た。