花の名は、ダリア


「「…」」


あれ?

『黙れ』とは言われない。
てか、ナニも言われない。


「そのガラスは、7500tの水圧にも耐え得る強度を誇っている。
僕も試したケド無理だったって、言っただろう?」


「「…」」


「無視!?無視なの!?
ほんっと、あんまりじゃない!!??」


ハイ。

ほんっと、あんまりだネ。
お気の毒すぎるネ。

カワイソーなサムを無視して、ダリアはいつの間にか部屋の隅に避難している。

カワイソーなサムを無視して、静かに集中力を高めたソージは…

目を開いた。

同時に左手の親指が、刀の鍔を跳ね上げる。

放たれた、白銀の閃光。

が、次の瞬間にはもう、ソージは元のスタイルに戻っていた。

え?

なんかした?
てか、抜いた?

だとしたら、刀はいつ鞘に戻ったの?

わけもわからず瞬きを繰り返すサムの前で、切れ込みどころか傷一つなかったガラスの檻の上部が斜めにスライドして…

ゴトリ…

床と接触し、重い音を立てた。