花の名は、ダリア


だーかーらー!
ソレ、違うって言ったじゃ───ん!?

だが、兵士たちの間には動揺と衝撃が走った。

え?同志?
こんな女、見たコトない。

女神と見紛うばかりの面差しで。
SS黒服姿が、異様に艶かしくて。

なのに全く生々しくなくて。
むしろ幻想的で。

見たら絶対忘れっこない。

けれど、その肩を飾る階級章は、上官である証…


「「「ジーク、ハイル!」」」


赤くなった顔を見合わせて素早く目配せした兵士たちは、ダリアに敬礼を返した。

見た?
コレが正しいファシスト式敬礼だから。


「じーく?
は、わかんないケド。」


せっかく披露してくれたお手本を『わかんない』で華麗に一蹴したダリアは、ヨシュアの肩に腕を回してニコリと笑った。

そして驚愕の一言を、ハイ、ドーゾ。


「このコは私が捕まえたの。
連行するから、案内してくれる?」


「っ!!??」


顔面蒼白となったヨシュアは、言葉もなくダリアを振り仰いだ。

行くの?
このまま?

アウシュビッツに?

いやいやいやいや…
無理無理無理無理…