今日のデートはショッピングと
植物園という穏やかデート。


最初はショッピング。


外を歩いているとき、いろんな人から
の視線が半端なかった。

特にたっくん何て…。

女の人に…いっぱい見られて…。
あーもう、ヤキモチ妬いちゃう…!!!!



それが嫌で、私はたっくんと手を繋ぐ
力をギュッと強めた。




「何?妬いてんの?…なら今ここで
キスしてもいいけど?どうする?」



何ですって…?!



「い、いいっ!!大丈夫…!!」



たっくんは意地悪く笑って私の
頭をなでなでした。

ヤキモチ妬いてる私を見て
たっくんは楽しんでる。

少しだけたっくんが不機嫌そうに
見えたけど気にしない事にした。




「たっくん!!!!クレープ!!!!
クレープ食べたい!!!!」




大好きなクレープを発見し
テンションが高くなった私は
ピョンピョン跳び跳ねた。




「食べてーの?買ってきてやっから
ここで待っとけ。いいか、変な男に
絡まれたら、こめかみに回し蹴りしろ。
そうすれば1発KOだかんな?」



「何のアドバイスだよ。
…まぁ、ここで待ってるね。」



「あぁ。」





たっくんがクレープを買ってきてくれる
のを待っていると、3、4人くらいの
若い男性がこちらへ寄ってきた。



「ねぇ、今1人なのー?
……って、この子今藤財閥の社長令嬢
だぜっ?!可愛い…。」



そう言って、私の髪の毛に
触れてくる男性たち。




「気安く触らないで。」




手を振りほどけば、よけいに
ベタベタ触ってきて。

まわりを見れば、何事かと
いろんな野次をとばしてくる
人がたくさん集まっていた。



(めんどうな事になった…。)



こういう系の男性は、1人を
倒せばどっか行っちゃう感じのタイプ
だけど、こうも人が集まれば…。

ちょっとやりにくい…。


もういい、やろうと決め、構えたとき
たっくんの声が聞こえた。




「すいません。少し通してください。」



なぜ敬語?!

あぁ、たっくんは人がいっぱい
いるから、あんな口調で入ってくれば
よけい大事になるって察してあえて
そうしてるんだ。



…と思えば。




「おい、てめぇら。こいつに気安く
触んな。あ?」


「誰だてめぇ。」


「てめぇらと言い、まわりの男ども
と言い、雪菜ガン見しやがって…。」


「あ?やんのかコラァ。」


「言っとくけど、俺有段者だから
強いよ?試しにそれがマジか見せて
やろうか?」





たっくんがそう言った時
その男性グループの1人が倒れた。

本当に一瞬だった。



(速い…。)



「どう?こいつみてぇにやられてぇか?」


「い、いえ…!!…お前!!、あら、荒澤
拓也っ…じゃねぇかっ!!!!!!」




なぜかたっくんの名前を知っていて、
凍り付いた男性グループは
咄嗟に走り出して、逃げていった。


まわりの野次馬たちは、
たっくんの名前をこそこそ
呼んでいて。





「たっくん…、有名なの?」


「それより、お前あれくらい倒せん
だろ?こめかみっつっただろーが。」


「うっ…ごめんなさい。」




たっくんは私の頭を撫でながら
抱き締めると、私をお姫様抱っこして
急に走り出した。


無事にショッピングへ入ると
中は、私とたっくんの2人しか
いなかった。




「今日は貸し切りだ。」


「え?!どう言うこと?!」


「ここ俺ん家が経営してる所。」


「えぇ?!…たっくんって…!!
荒澤拓也…荒澤…?…あぁ!!!!
たっくん荒澤財閥の息子?!」





たっくんは今頃気づいたのか
という顔をしていて。


いや~…。
正直ビックリした。

てか、皆知ってて、私知らないって
どんだけ私、情報が遅いわけ?

それが少しだけ悲しかった。




「今頃気づいたのかよ。小さい頃から
一緒にだったのによ。

まぁ、ヒントを与えず自分の力で
いつ気付くのかと思ったら。

けっこう楽しめた。」




たっくんはククッと笑って歩き出す。




「もー、たっくんの意地悪っ。」


「ったく、怒んなって。あの男たちの
せいで、クレープも買えなかったし、
好きな服持って帰っていいぞ。」



「本当?!やったー!!たっくんありがとっ。
じゃぁ、たっくんが服選んでよっ。」





クレープのお詫びにと服を
持って帰る事をOKしたたっくんに
服を選んでもらうことにした。


たっくんはすぐにブランド店に行き
私に服を合わせてきた。



真面目に服選びをするたっくんは
本当にかっこよくて、

下を向いたとき前髪で隠れて
隙間から見える青色の瞳とか


考え込む時の姿とか、何もかもが
かっこよくて、つい見入ってしまう。





「これとこれと、あとこれも。
それからこれっと。」





選んでくれたものを袋に丁寧に
店員さんにいれてもらい、
次のお店に行くことにした。



帽子をかぶって遊んだり、
変装してみたりしてたくさん
たっくんと遊んだ。




一流シェフに特別にクレープも
作ってもらった。

生クリームが濃厚で、ベリーの
ソースが甘酸っぱくて美味しい。

生地が温かくて、冷たいバニラアイスが
また絶妙。

フルーツもケチらずたっぷりと
のってて今まで食べたクレープよりも
全然美味しかった。




「たっくんも食べる?」


「おう。サンキュ。」


「あ、いいよ。全部食べて。」




私、丁度半分食べたから
たっくんと半分こ。

今日は、本当に楽しいな…。





「雪菜、さっきのもっかい言ってみ?」


「え…?だから、全部食べていいよ。」


「いいんだ?ぜーんぶ食べて。」


「?…うんいいよ?」





「わかった。」と何か意味ありげな
笑みをこぼしたたっくん。


するとたっくんは、




「じゃぁ、雪菜はクレープよりも
味わってやんねぇと。な?」



「…っ?!」




そういう意味だったのか…。
しまった引っ掛かった。


私までをも含めての全部だったんだ。

私の馬鹿っ!!!!

あと半分はたっくん食べて
いいよって言えば良かったぁ…!!




たっくんは相変わらず笑っていて。




「そんなこと言うなら、良いもんね。
クレープ全部食べちゃうもん。」


「ダメ。これはもう俺の。
雪ちゃんごと貰ったんだから。」





う~…。
私は一生たっくんには
敵わない気がする…。








***




クレープも全部食べ、お昼も
済ませた私たちは、植物園へと
向かっていた。


たっくんから貰った服は、
使用人さんにお家まで持っ
ていって貰った。



ショッピングモールから植物園は
徒歩で行けちゃうけど、やっぱり
すこし遠くて。

ちょっと疲れるけどたっくんと
手を繋いでるって、デートしてるって
思うと、不思議と疲れが吹っ飛んじゃう。




「ほら雪菜、着いたぞ。」


「うんっ。」


「ここ気を付けろ、段差あるから。」





紳士的にエスコートするたっくんが
大人っぽくて私の1個上とは思えない。


たっくんみてると、本当に
安心出来るんだ。


たっくんに出会えて良かった。




「あ、雪菜、あれおもしれぇぞ。」


「え?…あ、ホントだ!!葉っぱ大きい!!」


「んな。」





広い植物園を3時間くらい楽しんだ後、
私たちは帰ろうと、たっくんの専用車
を待った。


乗る車がたっくんの専用車で良かった。

私には、ちょっと考えている
事があるから。

これで、たっくんがOKしてくれるか
が問題なんだよね。



そんな事を考えていると、
丁度たっくんの専用車がきた。



私を最初に乗せて、たっくんが
乗り込むと、たっくんは私の家に
行くよう、運転手さんに指示した。




「運転手さん、たっくんの
家に行ってください。お願い。」


「しかし、お嬢様…。」


「いいから、お願いします。」




運転手さんにたっくんの家に
行くよう指示すると、たっくんは
驚きを隠せないようだった。




「雪菜…何で…、」


「たっくん…早く鈴さんをどうにか
しなくちゃ…。ね?
たっくん1人じゃなくて、私も
一緒に行けば、奥様許してくれると思うの。
何があったか分からないけど、
奥様、すこし悲しそうに見えるの。
…だから、一緒に行こう。」



「雪菜…。わかった…。」




よし…!!!!
大成功!!!!


これで、たっくんの奥様と社長さん
に了承を得られれば。

いや。OKしてくれると思う。
あの奥様が意地悪なわけない。
あの瞳は優しかった。

たっくんの目は親譲りだもん。
たっくんのあの少し青っぽい瞳
もとても優しい目をしてる。



だから、奥様も優しいはず。