目を覚ますと、たっくんが
優しく頭を撫でてくれていた。


その顔、すごく優しくて
私まで笑顔になった。




「おはよう。…っつってももう少しで
11時になるけど。」



「おはよう。」




たっくんは、いったん私から
離れると何かを持ってやって来た。

たっくんが持ってきたものからは
すごくいい香りがする。




「雪菜の好きなレモンティー。
これでも飲んで、少し落ち着け。」



「うん。ありがと。」



「おう。」





たっくんからホットレモンティーを
もらって1口口に運ぶ。

1口いれたとき、レモンのいい香りが
口一杯に広がった。

ほんのりハチミツの味がするのが
アクセントになってより美味しい。


たっくんの優しさが伝わって
くるようで、嬉しかった。




「雪菜、明日学校休みだけど。
……俺とデートしっよっか。」



「えっ?!…する!!デートする!!」



「んじゃ決定な。」




明日はたっくんとデート…!!
いっぱいオシャレしよっ!!!!

何着ていこうかなぁ。
髪の毛は巻いていこうかな。

やっぱりスカートがいいよね。
私背は低いからヒール履いていこっかな。




「ほら、雪菜。もう寝んぞ。」




そう言ったたっくんはなぜか
ちゃっかり私のベッドへ入ってく。

布団に体をおさめると
目を閉じてたっくんは寝てしまった。




「え、たっくん何で?自分の
お部屋行かないの?」


「あ?雪菜俺の事忘れてた時、俺
めっちゃ我慢してたんだぞ?
んだから、そん時出来なかった事
全部やんの。あと雪ちゃん不足
何だよ。分かるだろ?」


「あー…、そうなんだー…。」


「どした?…何?襲ってほしい?
状況的にも今ピッタしだしな。」






ひっ!!
ダメだ!!!!

私の必殺技!!
寝たふり術!!!!





私は、布団にもぐり込んで
規則正しい寝息をたてた。


隣では何やらごそごそいってる。
なぜかすっごーくやな感じがする。
嫌な予感がする。




「雪菜…。」




耳元で、名前を呼ばれた。

少し掠れた感じが妙に大人っぽくて。
少しくすぐったくて。

動きそうになったけど、
何とか耐えた。


すると、腕を引っ張られたっくんに
両腕を拘束されてしまった。




「雪菜、襲われたい?」


「い、いや~…?」


「や?なら抵抗してみ?」


「…っ…」





たっくんに抵抗なんて出来ない。

それが分かってて、たっくんは
わざと言ってる。

やっぱりたっくんは意地悪だ。
幼い頃は本当に可愛かったのに。

少し戸惑っていると、たっくん
の唇と私の唇が重なった。




「…俺の事好きっつったら
襲わないでやるよ。
これくらい言えんだろ?」



「…好き。好きだよ。大好き。」




好きって気持ちならいくらでも言える。
好きすぎて伝えきれないくらいだよ。

好きなんて毎日言えるよ。

…毎日伝えるよ?





「…もう、寝るか。」




たっくんは私の頬を優しく撫で、
私を横から抱き締めると寝息を
たててしまった。


名前を呼んでも返事がない。




(寝るの早っっ!!!!)




私は、抱き枕ですか…。
たっくんにとっては私なんて
小さいもんね。


リアルな身長はシークレットだから
言えないけど、150だいだよ私。

小さいでしょ。


だから、たっくんにとって
私はいい抱き枕になるわけさ。


良いもんね。
私もたっくんに抱き付いてやる。



私は、ポフッとたっくんに
抱き付いて、仲良く一緒に寝た。






***




目を覚ますと、私の部屋から
とてもいい香りがした。


何の香りだろうと思い
ベッドから起きると、私の部屋に
メイドさんが朝食を運んでいた。



すると私の部屋に、私服のたっくんが
入ってきた。




「たっくん…!!」




(うそ…かっこいい…。)



いつもスーツ姿とルームウェアでの
たっくんしか見たことなかったから
私服だなんて、初めてでよけい
ドキドキする。




「雪菜起きたか。今日はこっちで
食べようぜ?どうせ、雪菜の親は
海外いってっし。」



「うん。たまにはいいね。」




メイドさんにお礼を言って、
私たちは、朝食を楽しんだ。


お風呂も済ませ、服にも着替え、
髪の毛を巻いていると、たっくん
が入ってきた。




「おい。雪菜、そんな可愛い格好
したら、他の男が寄りつくだろうが。」



「いいの。たっくんのために
頑張ってオシャレしたんだから。」




「はいはい。分かったよ。」





髪の毛を巻き終わり、たっくんから
もらったあのネックレスを付けて
私はたっくんと外出した。