ここの部屋の扉が吹っ飛んだ。
その衝撃で部屋の家具が所々
壊れている。
そこにいた人物は…、
「誰だ?てめぇ。外のやつはどうした。」
「あ?うぜーから片付けた。
…それより、俺を知らねぇとは
言わせねぇよ?あ?誰だか言ってみ?」
「はぁ?何言って……、」
男は、ドアを吹っ飛ばした人を
近くで見るなり息なり凍り付いた。
「あ?どーした。言ってみろ。」
「あ、…あ、あら…荒澤…拓也…。」
男の声はとても震えていて
怖がってるみたいだった。
「てめぇ何ぞが雪菜に触れていいわけ
がねぇんだよ。あ?分かるよな?
…こいつはそんな簡単に触れていい女
じゃねぇんだよ。
お前の会社なんて一握りで潰せる。
てめぇの会社、潰されてぇか?
雪菜怪我してんじゃねぇかよ。
傷なんて付けるとは…。
これは、1発じゃおさまんねぇな。」
そう言った拓也さんは男の胸ぐらを
掴むと、拳を1発おみまいした。
倒れた男に回し蹴りしたあと、背負い
投げで男は気を失ってしまった。
拓也さんが「連れてけ。」と一言
発したとき、部屋のなかに2人の男性が
入ってきて、男を連れて
どこかへ行ってしまった。
「雪菜。大丈夫か?」
「拓也さん…。」
「帰ってくんのおせぇと思って
調べたら、あんな奴らに捕まってっし。
……怖かったよな。もう大丈夫だ。」
拓也さんは、私を強く
抱き締めてくれた。
そこから本当に心配してくれていた
と言うことが伝わってきた。
すると、拓也さんは私を離すと、
また誰かを呼んだ。
呼ばれて現れた人を見て
私は驚きを隠せなかった。
だって…
「桑田君…!!!!」
「雪菜。お前…こいつと
付き合ってんだろ?」
1番知られらたくない人物に
知られてしまった事が嫌で
悲しくて、私は黙りこんだ。
でも、黙る私を拓也さんは
肯定と取ったみたいで、
「そうなんだな。…それについては
雪菜と桑田の恋事情だ。
…1番問題なのは桑田、お前だ。」
桑田君が問題…?
どうして…?
拓也さんは、かなりお怒りの
様子で、私は言葉が出てこなかった。
「おい、桑田。雪菜が本当に好きなら
家までしっかり送れ!!それが筋って
もんだろうが!!お前の彼女何だろ?!
なら、何で女を1人で帰らせるような
ことした?
雪菜はいっぺん事故ってんだよ。
前みたいな事が今回起こってたら
お前どうした?
大切にしたいんだろ?!
好きなんだろ?!
ならちゃんと雪菜を愛してやれ!!!!
そんなんじゃ、雪菜は渡せらんねぇ。」
拓也さんの怒鳴りっぷりが
凄くて、言葉が出ない。
私と同じなのか、桑田君は
ずっと下を向いたまま黙っている。
何より、私は拓也さんの言った
“雪菜は渡せねぇ”とか
“簡単に触れていい女じゃねぇ”
って言ってくれた事がすごく
嬉しかった。
すると、拓也さんは私に
近付いてきて、驚きの
言葉を発した。
「…雪菜…、俺の事思い出せない?
幼い頃の約束も、忘れちゃった?
……俺の名前呼んでよ…雪ちゃん…」
「拓也さ…、」
拓也さんから雪ちゃんと呼ばれたとき
ある記憶が頭に流れてきた。
『雪ちゃんっ!!大好きだよっ!!
雪ちゃんは僕の事好きっ?』
『うんっ!!雪ちゃんたっくんの
こと大好きだよっ!!!!』