『おいっ!!雪菜っ!!…雪菜っ!!』



(苦しいよ…たっくん…。
体中が…痛いよ…。)




『雪菜…!!…おい雪菜っ!!!!』



(は…たっくん…もう一度
私の名前を…呼んで欲しいな…)







……―――――






「雪菜…おい、雪菜…。」



「ん…?拓也さん…?」





(あれ…?さっきのは…夢…か。)





「まだ、思い出せねぇか…。
…ったく、お前寝てんだもん。
俺が車まで運んでやった。」




「車まで…ありがと…。」



「雪菜どうした?具合悪い?」





うつ向く私の顎をくいっと
持ち上げて心配そうに覗き
込む拓也さん。




(今は、見られて欲しくない…。
だって……、)





「雪菜顔あけぇぞ?」



「……!!」





いちいち拓也さんにドキッてする
自分を見られるのが凄く恥ずかしい…。


恥ずかしいし、それに気付かれるのが
怖いから…。


私が、拓也さんのこと…、






「…俺の事、好き?」


「…え…?」




私は、おかしい。

少し強引に私の腕を掴む拓也さん。
掴まれてる所から感じる
痛みさえもいとおしく感じる。

それだけ……好きってこと…。





「わりぃ。息なりこんな事聞いて。」




そう言って、拓也さんは私を掴む
手をそっと離した。


少し、チクチク痛む胸に
手を添える。




(拓也さんの手、離れちゃった…。)



けど、次にした拓也さんの行動
に私は驚いた。




「拓也さん…?」




だって、手を離したと思ったら
私の手を優しく握って来たから。




「少しだけ、こうさせて。」



そう言いながら、握る力を
少し強めた拓也さんは意地悪く
笑ってるけどどこか悲しげだった。



こういう拓也さん見てると
泣きたくなる…。




拓也さんに彼女はいるのかな…?

拓也さんはどういうタイプ
が好みかな…?




知りたい事いっぱいだよ。



私、失礼ながらも拓也さんの特別
な存在になりたい。





(ヤバ……また眠く……)






視界ギリギリに残した拓也さんが
私を見ているのが分かった。


私は、何か温かいものに包まれる
感じがし、安心して深い眠りついた。