たっくんに見送ってもらった私は、
教室にいる皐月ちゃんと由香ちゃん
の所へ真っ先へ行った。






「おはよう。由香ちゃんと皐月ちゃん。
ちょっと来てほしい所が
あるんだけど…。今ね。」




「え…、あぁ、うん!!いいよ!!」
「うちも良いよ。…拓也さんに
会えるならだけど。」




由香ちゃんは、一瞬ためらったけど
あっさりOKしてくれた。

皐月ちゃんはボソッと何か呟いた。
けど今度はしっかり聞き取れた。


(相変わらず、たっくんの事を…)




あんな事言われると、よけいに
やる気が起こるよね。

私のやる気にもっと火をつけ
ちゃう何て。この2人って凄いかも。





「いいよ。私の執事に
会わせてあげるから、だからさ…
来て、くれるよね…?」





この言葉で、あの2人の
顔は一気に明るくなった。



(…なーんて嘘だけど。)




こうでもしないと、絶対
来ないよね。あの2人。




「じゃぁ、着いてきて。」











***




そう言って、連れてきた場所は校舎裏。



(いかにもって感じ…。)




校舎裏ってよくドラマとか漫画とかで
出てくるよね…。

喧嘩だったりいじめだったり…。






「こ、今藤さん。拓也さんは…?」
「拓也さんがいなぁい…。」





「あんな話、本当だと思った?
……そーんな事よりさ、遊ぼっか。」





私がそう言うと2人の顔がひきつった。




2人より、私の方が背は小さいけど、
私のどす黒い雰囲気に圧倒されてる2人。





「ねぇ…私の事どう思う…?」




「えっ?!そりゃ、友達だと思ってる
し、友達として大好きだよっ?!」
「うちもっ!!うちもっ!!」




必死で、そう答える2人。
けどその裏側に潜む本心は見え見え。




“友達だって思ってる。好きだから
助けてよ。お願い早く。”




そう伝わってくる。





「私はね…あなたたちの事、












……大嫌い。」







その瞬間、私は2人に覆い被さった。


小さい悲鳴が耳元で聞こえてくる。






「やめてよっ!!押し倒す何てっ!!
制服が汚れるじゃんっ!!!!」

「拓也さんじゃないとときめかない
んだからっ!!離れてっ!!」






(あーぁ。遂に化けの皮が剥がれた…)






「昨日と…同じ状況だね…?
次に何すると思う…?」




私は、そう言うと、拳を
思いきり、振り上げた。




2人めがけて、拳を
勢いよく下ろすと
2人は咄嗟に目をつぶった。





その瞬間、「ごつ。」という
鈍い音が聞こえた。





(やば…地面にひび入った…。)






地面に1発パンチを食らわすと
想像以上に土が柔らかく、拳の
跡がついた上、地面にひびが
入ってしまったのだ。





2人は、さっきからポロポロ
涙を流して「ごめんなさい。」と
連呼している。




「ごめんね?…これじゃ、
おさまらないんだよね…怒りが。」





2人はもう謝るのを止めて
私を泣きながら、ずっと見ている。





「これは、昨日の分っ!!
それと、次は私が傷付いた分っ!!
最後は…たっくんの分っっ!!!!!!」





1つ1つ2人の顔の近くを打ち付ける
拳の訳を言いながら、合計4発
拳を打ち付けた。




地面には、拳の跡が付いていて、
少しだけ、そこだけ凹んで、
ひびが入っていた。







(ふぅ。スッキリした。)






「許したくないけど、これで
勘弁してあげる。…じゃぁね。」





押し倒されたままの状態で
泣くのを止めない2人を無視して
私は、校舎へと入っていった。






2人だけになった校舎裏は、
すすり泣く声だけが小さく響いていた。