「はぁ…。」
用もないのに御手洗いに入って10分。
溜め息は、何と1分に1回。
溜め息の原因は、皐月ちゃんと
由香ちゃんのアピールっぷり。
「あの輪の中に入るのは辛いなぁ…。」
またもや溜め息が。
(でも、逃げてちゃ何も
始まらない。)
そうだよ…!!
もう逃げてちゃダメ!!
正面からぶつかればいい。
***
御手洗いから出てきて、
応接室の扉を開けようとしたら
中から、2人の悲鳴が。
私は、何か変な奴が入ってきた
のかと思い、思いきり扉を開けた。
「大丈夫っ?!」
大声を出して応接室に入った
瞬間、私は驚きを隠せなかった。
だって…
そこには…
床に仰向けになってる2人に
覆い被さるように床に手を付いてる
たっくんの姿があった。
「やぁだぁ~。拓也さんてば
だいた~んっ!!」
「拓也さんって意外と狼何だねぇ~。」
口々に、猫撫で声でそう言う2人。
「…めて…。」
(お願い…やめて…。)
「…やめて…。」
2人はたっくんにベタベタ
触ってて。
もう、許せなかった。
たっくんも。…許せなかった。
「2人を同時に押し倒す
何て拓也さんったら~。きゃははっ。」
(お願い…。)
きゃっきゃ騒ぐ2人が
一瞬こちらを見た気がした。
「拓也さんってぇ…、今藤さんの
事どう思ってるのぉ…?」
(お願い…やめてよ…)
たっくんは無感情に2人を
見下ろしていた。
何も…答えなかった。
「何も答えないなんて、今藤さん
のことどうでもいいってことぉ?」
「あはは。なにそれうけるっ!!」
「やめてっっ!!!!!!」
流石に我慢が出来ず、私の
怒鳴り声が応接室に響き渡る。
「お願いだから、もう…やめて…。
たっくんにそんな事言うのも
…やめてよ…。」
一言一言を口に出すたびに
悲しくて苦しくて辛い感情が
私の心を支配する。
悲しみが、遠慮もなく
私の心をえぐる。
とにかく、痛くて…痛くて…。
…息をするのも苦しかった。
静かになった応接室。
その静寂を破った
「雪菜…。」
たっくんの声。
(2人と喋ったその声で
私に話しかけないで…。)
たっくんはゆっくり
私の所へやって来て、
「雪菜…これは違うんだ…」
(言い訳らしい言い訳をするんだ…。)
するとたっくんは私の
腕を掴んできた。
(やめてよ…。2人に触れたその手で
私に触れないでよ…。やめて…。)
「離してっっっ!!!!」
私は、思いきりたっくんの
手を振りほどいた。
「こんな事するなんて…。
この変態っ!!!!バカ拓也っっ!!!!!!!!」
私は言いたい放題言って
自分の部屋へと走った。



