朝のHRが始まりそうになる頃、
あの2人は教室へ入ってきた。
(え…。まさか、ずっと
たっくんと話してたの…?)
どんどん嫌な予感は私の中で
膨らんでいく。
由香ちゃんと皐月ちゃんは、
休み時間中ずっと、私に
たっくんの話をしてきた。
「拓也さんって、ほんとイケメンっ!!」
「ねっ!!家に行くの楽しみっ!!」
(はぁ…。)
よくもまぁ、私の前で
そんな事を…。
2人がたっくん目当てなのは
嫌と言うほどわかった。
だから、早くこの嫌な予感を
取り除いて…。
何かが起こりそうで
2人の会話も授業も
耳に入ってこない。
結局、嫌な予感が取り除かれること
はないまま、放課後を迎えた。
朝の時と比べて、私の気分は
すごく低い。
2人と一緒に専用車へ向かう。
たっくんが見えた瞬間
あの2人は私には目もくれず
たっくんの元へ走り寄っていく。
(何か、家に帰りたくない。)
そう願っても、私の願いは
叶うはずもなく、専用車に乗ると
車はスムーズに走り、なぜか
予定よりも早く家に着いてしまった。
「わー!!今藤さんって噂通りお嬢様
だったんだぁー!!!」
「すっごーい!!豪邸だぁ~。
こんな豪邸初めて見るなぁ~。」
専用車から降りると同時に
2人が目をキラキラさせて
そう言った。
自分の家を褒められるのは
やはり誰だって嬉しいもの。
けど私は、嬉さなんて、1ミリも
感じなかった。
だって、そう褒めながら、
2人はたっくんと腕を組むから。
たっくんは爽やかスマイルを
どうにか維持しているようだけど、
鬱陶しさが顔から滲み出ている。
たっくんは何とも思ってないみたいだけ
ど、そう言う光景って見たくない…。



