冷たい風が強く私達を吹き付ける。



私の声を遮った主を見ようと
私もあの男子らも屋上の
ドアの方へ視線をやった。






「たっくん…!!」




「はぁ?たっくんとか誰だよ?

おい、お前誰だよ。」




私の顎を持ち上げている男子が
たっくんに話しかける。






「お前らなんか、名乗られる
価値なんてねぇよ。


それ以上、雪菜に何も言わせねぇ。


そいつは俺の女だ。」






たっくんはそう言いながら
私達の方へ歩み寄ってきて、
私を脱がそうとした男子らを
片手1つでどかすと、私の手首を
縛ってる縄をほどいた。




「あーぁ。こんなに赤く縄の跡が
つくくらい強く縛ってたなんて。


この代償は重いぜ?お前ら。」





そう言って立ち上がった
たっくんは、回し蹴り1発で
男子らを片付けてしまった。





(強い…。)







やられた男子らは、
たっくんをきつく睨んでいた。





「こいつは、そう簡単に
触れていい女じゃねぇんだよ。」





たっくんは、男子らに
そう言って私の方へやって来ると




「ったく、心配かけんなよ雪菜。」



私を抱き締めてそう囁いた。






「たっくん…っ…うっ…怖かったよぉ
すごく…っ…怖かったぁ…ひっく…
うっ…っ…」





「もう大丈夫。俺がいる。」そう
言って優しく撫でてくれるたっくん
は、いつぞやのママみたいで、


懐かしい気分になった。





一気に緊張が解けたからなのか
私の意識はどんどん遠くなっていく。





「たっくん…、たっくん……。」





たっくんの撫でてくれる
暖かくて大きい手。


抱き締めてくれるあの暖かい腕。


たっくんがいると言う存在が
安心出来て、私の意識はそこで途絶えた。