万が一の時は直ぐ様逃げ出せるようにと余分な荷物は置き掌には携帯電話を握り締め、破壊音のした方向へ足を進める。 「…何もない」 視界に広がるのは、やはり普段と変わらない校舎の一部。 「空耳だったか」 「いえ、空耳ではありません」 「じゃあなんで此処には何もないんだ、よ。…って」 背後から、返ってくることの無いはずの問いに対する答えが聞こえた。くるりと体を回転させ後ろを見る。 そこにはまるで高級料理店にいるウェイターのようなタキシードを着こなし、微笑みかける男が一人いた。