唇が離れると、愛音は至近距離でフッと笑って
「バーカ」
って。
その瞬間、体がボッと火がついたように熱くなって、胸のドキドキが早くなっていくのが自分でも分かった。
「い、いきなりなにすんの!!」
「なんだよ、決まり事やっただけだろ」
分かってるけど、心臓に悪いんだよー!!
「この俺様!悪魔!もう知らないっ」
どうしてくれんのよ、この熱くなった体は!!
顔が赤いところを見られたくなくて、そっぽを向いた。
信じられない、運転手さんもいるのに!
ギュッと目を閉じてドキドキが収まるのを待った。
けれど、愛音はそれを許してはくれなかったんだ。
頭に大きくて温かいものが乗ったと思ったと思うと
「俺はお前嫌いじゃないよ」
っていう、愛音の声。
え?
「荒木、真冬のこと頼んだ。行ってくる」
「かしこまりました。お気をつけて」
嫌いじゃない。
その言葉の意味を聞こうとした時には、愛音はすでに女の子達に囲まれていて。
ねぇ愛音、それって女の子は嫌いだけど、私は嫌いじゃないって…そういうこと?



