「……真冬、こっちきて」
愛音がソファに座って、私を呼んだ。
私は緊張とドキドキのあまりに震えた体を動かし、ゆっくりと愛音が待つソファに座る。
バクバクバクバク……。
心臓の音がうるさい。
「あ、愛音……?」
「ん?」
「愛音は……初めてじゃないの?」
「……」
答えないってことは、初めてじゃないんだね……。
「……中学ん時に、興味本位で3回くらい女と遊んだ」
その言葉に、ズキっと胸が痛む。
「でも、こんなに緊張すんのは初めてだ」
「え?」
愛音は私の手を取ると、自分の胸に当てた。
その瞬間、手から伝わってくる愛音の心臓の音。
私と同じくらい、ドキドキしてる……。
「キスも、それ以上も初めてじゃないけど、相手を傷つけたくないって思ったのは、お前が初めてだ」
真っ直ぐ私の目をみて、愛音は言ってくれた。
キスも、それ以上も初めてではないと聞いた時はショックだった。
けど、今は私を見てくれてる。
私が傷つかないかって、心配してくれてる。
嬉しかった。
「ふぇ……」
初めて、愛音の前で泣いた。
悲しいからじゃない。
苦しいからじゃない。
嬉しいから、泣いたんだ。



