「聞いていた以上に可愛らしいお嬢さんだ。あの子にはもったいない」
いやぁ……可愛らしさの欠片もないと思うんですけど……。
「あ、あのー……失礼ですけど、あなた方は……?」
「あぁ、これは失礼。自己紹介をしていなかったね。
私は南野グループ財閥の元会長。そしてこの男が、現会長だよ」
白髪のおじさんはニコニコと優しそうに笑っている。
けれど、私の頭の中は今それどころではない。
今、なんて言った?
南野グループ財閥って言った……?
嘘でしょ!?
南野財閥って言ったら、色んな会社を経営している日本の経済の代表……。
世界的な大富豪じゃんか!!
な、なんでそんな雲の上の人と知り合いになってんの、おばあちゃん!!
混乱している私に、ワイルドな男の人が言った。
「真冬ちゃん、まだ息子が帰ってこないんだ。もう少しだから、待っててね」
息子……。
あれ?
じゃあ私、この人と結婚するわけじゃないんだ。
少しホッとしながらも、疑問に思うことがあった。
息子ってことは、その人が社長で私と結婚する人だよね……。
ちょっと待って、そしたら何歳?
だってあの人、まだ若いよね?
じゃあ……。
そんなことを考えていた時。
ガチャっと部屋のドアが開いて、制服姿の男の子が入ってきた。



