「奏くん!華奈ちゃんのこと、絶対離しちゃダメだからね!?」
「おう、当たり前!離せって言われても絶対離してやんないから大丈夫!」
奏くんは華奈ちゃんを後ろから大事そうに抱きしめてから、二人で手をつないで戻っていった。
ラブラブじゃないですかー!
「あいつら中1から付き合ってんだよ」
「ち、中1!?」
長くないですか!?
「婚約したのは中3の時だったかな。奏が華奈の両親に、嫁に下さいって頭下げに行ったんだ。
まぁ、華奈の両親は奏のこと、昔からすっげぇ信頼してたから、喜んですぐにオッケーしてくれたらしい」
中3で頭下げちゃうとか、早すぎな気もするけど……。
すごいな、奏くん。
男気あるね。
漢の中の漢だよ。
「奏が18になったら結婚するって。そん時は祝ってやんねぇとな」
「そうだね!」
盛大にお祝いしたいなぁ!
お互いが本当に想いあってるんだって、見ていて分かった。
あぁいうの、すごく素敵だと思う。
なんだろう……。
あの2人見てたら、無性に愛音に触りたくなってきた。
って、触りたいって何!?
私ただの変態になっちゃうよ!!
まだ好きなのかは分からない。
でも、分かるよ。
恋愛初心者の私にだって、分かる。
昨日からずっとドキドキが止まらないのも。
愛音の言葉が嬉しいと感じるのも。
私は……。
「愛音っ」
愛音の腕に、自分の腕を絡ませて、ぎゅっと抱きつく。
「っ!?……急に何だよ」
「べっつにー?」
不思議そうに私を見る愛音の手を握ると、首を傾げながらも握り返してくれる。
それだけでも嬉しい。
やっぱり私は……。
愛音を好きになりかけてるんだ……。