「真冬様のお部屋にこちらのお荷物をお運びしますので、真冬様はこの廊下を真っ直ぐに行った正面のお部屋に」
「あ、はい……」
よく分からないけど、とりあえず行けばいいか。
そういえば私、相手がお金持ちってことしか聞いてなかったな……。
どこのお金持ち様の家なんだろう?
言われた通り、廊下を真っ直ぐに行くと、他のドアより一回り大きなドアの部屋があった。
ここ、か……。
恐る恐るノックすると、中から「どちら様でしょうか」と、男の人の声が帰ってきた。
「あ、あの!私、五十嵐真冬です!今日から、その……こちらにお世話になる……」
慌てて話したもんだから、自分でも何を言っているのか分からなかった。
「真冬くんか!入って入って!」
ん?
真冬、くん?
私女の子なんだけど……まぁいいや。
「失礼します……」
ゆっくりとドアを開けて中に入ると、少しだけ年が行った、優しそうなおじさんが椅子に腰掛けていて、
その隣に茶髪で四十くらいのワイルドでイケメンな男の人が立っている。
「よく来たね。君のことは、君のおばあさんからよく聞いているよ」
あ、この人が知り合いの……。
じゃあ、その隣にいるワイルドなおじさんが、私の夫になる人!?
イヤーー!!
私まだ17歳のピチピチな女子高生だよ!?
「真冬くん?大丈夫かな?」
「へっ……?あ、すみませんっ……」
は、恥ずかしっ……!
一人で百面相してたよっ……。



