side 愛音




「南野様ー!!」

「愛音様ー!!キャー!」





学校に着いた瞬間、女が群がる。




甲高い声が頭に響いて痛い。





「お誕生日おめでとうございます!!」


「これ受け取って下さい!」





目の前に差し出されたプレゼントを無視してそのまま歩く。





「あぁ、そんな冷たいところも素敵っ……!」





頭可笑しいんじゃねぇの。






俺は女を押しよけて校舎に入った。

校舎に入っても女の声は止むことはない。



ホントにうるさい。





教室に入ると。


「愛音、おっはよー!」


明るい声が俺を呼ぶ。




小さい頃からの親友、新垣 奏(にいがき かなて)。



奏は南野財閥と一番関係が深く、長い付き合いである新垣財閥の跡取り息子。


ウチの財閥に次ぐ日本No.2の財閥だけど、ウチみたいな変な決まりごとはない。



それが少し羨ましい。




「プレゼントくらい貰ってやったらいいのに」


「いらねぇよ、好きでもねぇのに」


「愛音って、女にはホントに冷たいよなー」


「お前が優しすぎなんだよ」