泣いてた意味が違う。
あの時泣いてたのは、華憐が引越してしまうからではなくて。
「親父が初めて俺に仕事を任してくれたから嬉し泣きしてたんだよ」
悲しいから泣いてたんじゃねぇ。
むしろその逆だ。
「し、仕事ぉ!?あの時お前何歳だよ!」
確か…。
「8歳だな」
「はっ…!?…で、その時の仕事の内容は?」
「他企業との契約交渉の承認役」
「……嘘だ」
うそじゃねぇ。
確かになんでそんな重要な仕事をガキにやらすんだって普通だったら思う。
「うちの家系はずっと昔からそうなんだよ。子供の時からそういう仕事をやらせるんだ。
それが分かってるから他企業も何も文句言わない。実際それで成功してるし、文句なんかつけらんねぇって話だ」
下がしっかり育っているからこそ、跡を任せられる。
そうやって南野家は長年トップを守ってきた。
誰も文句は言わない。



