「…っ……」
唇を離すと、真冬はいつも顔を真っ赤にして、トロンとした目で俺を見る。
俺はその瞬間が好きだ。
「じゃあ行ってくる。荒木、頼んだ」
「行ってらっしゃいませ、愛音様」
まだ顔を赤くしたままの真冬の頭を撫でて、車を降りた。
真冬は普段強気なのに、迫ると途端に女になるからズルい。
あれはただ純粋なだけだけど。
「おはようございます!愛音様!」
「キャー!!」
学校の門を通ると、相変わらず女の声が響く。
ほんっとウザイ。
真冬と結婚したから多少は減るかと思ったけど、全然変わらない。
真冬が同じ学校なら少しは違ったかもしれない。