Name ~ 名前なんていらない ~










「ちょっと…たく!すば!泣かせないでよーコイツ泣きやむの遅いんだから―っ」






詩多は、眉間にしわを寄せながら言った。







「あーっワリィワリィっ」





2人は、笑いながら詩多たちに謝った。





「めんごめんごーっ」









すばるは、ふざけてそう言いながら、舌を少しだけ出して笑った。


…私を見つめながら。



私とすばるの視線がぶつかる。



…トクン。

心臓が、すこし跳ね上がった。








そのやり取りの間に、紗結は泣きながら立ち上がると、自分の席に座った。








「…なぁ、桜井」