「…」
でも、私は何もしない。
何か声をかけるわけでもなく、同情もしない。
それも、おとといや昨日と同じ。
「あっれぇー?稲葉さんじゃん?!え?なになに?どしたのーっ?」
クラスの中心的メンバーの、皆川 汰玖朗(みながわ たくろう)が、ふざけながら言った。
それに続き、守山 すばる(もりやま すばる)が罵った。
「なーんか転校生のくせに、
調子こみ過ぎだよね!
俺とか、たくろーにべたべたしてきて、マジきもかった。
サクラに対する態度もなに?超むかつく。たいして可愛くもないくせに、ありえなくね?何?そのちっちゃい目!…はははっ」
すばるが、沙結にひどい言葉を浴びせる。
「…ぇえ?!おい、すばる見ろよ。コイツ泣いてる!!泣き顔、見てらんねーよ!はははっ…」
すばると汰玖朗は、おなかを抱えて笑っていた。

