Name ~ 名前なんていらない ~














人気のいないせいなのか、私の走り方がおかしいのか、私の足音はバタバタと廊下に鳴り響いた。






お弁当を抱えながら、急いで階段を下りる。



ちらちらと後ろを振り返り、苡槻が付いてきていないことを確認する。




…来るわけないのに。


ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、期待した。




1週間前みたいに、”名前”を呼んでくれることを。







「はぁ…はぁ……っはぁ…はぁ…」





5階から、自分の教室がある2階まで全速力で走るともなると、さすがにきつかった。





ましてや、帰宅部の私が疲れないわけがなかった。







教室に戻り、私が自分の席に着いたと同時にドアが開いた。





ガラガラっ…