背筋をきちんと伸ばした姿は、高い身長をさらに主張していた。

彼の声は、少し低かった。


見た目よりかは優しげな喋り方で、黒縁眼鏡の内側の瞳は綺麗な焦げ茶色。




季節の挨拶から始まった新入生への言葉に。先生方は何回も頷き、保護者席、新入生の席からは盛大な拍手が送られた。



降壇した彼は生徒会席に戻り、椅子に座る。


その時、彼の表情が一瞬翳りを帯びたのがわかった。



眼鏡の奥の瞳は冷たく、まるで自分以外何も信じない。そんな顔だった。