学園祭当日。
私は階段の踊場の壁に、バザーの案内を貼っていた。


教室では、その準備にてんてこ舞い。

此処で登場のダンボール。

敷き詰めた上にカバーを掛け、商品を並べる。

私はお祖母ちゃんで貰った、母の実家製のバッグを提供した。


小さな化粧ポーチ。
大人の雑誌の付録に付いてくるような可愛らしい物だった。

後で聞いた話ですが、一番先に完売したようだ。
十個用意したのに……

やはり女子高生は可愛いい物には弱いらしい。


後日伯母に報告したら、物凄く喜んでくれた。
でも、感謝するのはコッチの方なのにと、受話器を置いてから思った。




 一方テントの下のチョコバナナは……

炎天下でトロトロ……


「ん、もう最悪!」

私は本当に焦っていた。


チョコレートはお湯を沸して湯煎で溶かす。
そうしないと、滑らかにならないのだ。

そのお湯の熱が、バナナに付いたチョコレートを溶かしてしまったのだ。


ダンボールを貰ったスーパーに行って、こっそり持ち帰り氷を戴いて来ることにした。


悪いことだと解っている。
でも緊急事態だった。




 自転車を漕いで五分も行くとお目当てのスーパー。

飲食には使用出来ません。

張り紙にはそう書かれていた。



 アルミ製のバットの下にこの氷を並べ塩を混ぜる。
塩は氷を更に冷たくする効果があるのだ。
コレは私のアイデア。

何時か母がアイスクリームをこうして作ってくれたのを思い出したのだ。


その上にラップを被せてチョコバナナを置いた。


そうする事でやっと売れるチョコバナナらしき物が出来上がった。

勿論衛生面での配慮も欠かさなかった。
手には使い捨て手袋と、アルコール除菌。




 清水さんが書いた看板を横に設置して、ようやく開店に間に合った。


「やったね!」

二人はハイタッチで喜びを表現していた。