いつからこんなのになっちゃったの? さくらのためならいくらでも身を削れるのに。 どうして奏のこととなると譲れなくなっちゃうの? こんな自分…… 嫌だよ……。 「………… 分かったよ……」 奏は少し眉を下げて微笑んだ。 「俺も、お前がいない家に帰りたくねぇし。」 そんな優しい言葉も 今はズキリと音をたてて私の心臓を貫く。 「ありがとう。ごめん……」 それだけ言って私は奏の部屋を出た。