「プッ…奏がニヤニヤしてる……」


栞奈が口許を抑えながら
俺以上ににやけている。


「うるせー。」


「なんかさくらと対応が違う!!」


「だってさくらの方が可愛いだろ。」


「おい!!!」




栞奈はふざけた調子で俺の肩を叩いた。




「奏お兄ちゃん。」


さくらが俺の制服の裾を引っ張る。


「ん?」


「車乗りたい。」


「ちょ、さくら!」



またしても栞奈が慌ててさくらの口を塞ぐ。



「だって!

おねーちゃん毎日いっぱい歩いてて大変そうなんだもん。」


「ちょっとは痩せられるんじゃね?」


「さくら!

コイツに頼んだって無駄だよ!

諦めて。

歩くの嫌ならおねーちゃんがおんぶして行ってあげるから。」



「えー……」



相変わらず

自己犠牲的なやつ。