「寒くなってきたね、さくら。」 「おねーちゃん、マフラー欲しい。 保育園の子みんな持ってるの。かわいいやつ。」 「じゃあ今度おじさんに頼んでみよ?」 「うん!」 朝、 さくらを保育園に送り届け、また学校の方向へ引き返す。 この生活にも随分慣れてきたな。 天気……あんまりよくない……。 空を見上げると、灰色が一面に広がっていた。 雨は…… 嫌い。 お母さんとお父さんが死んだ日の天気。 少し重たい心を引きずって私は教室に入った。