「あぁ、それきっと僕のネコ。黒かったでしょ? ここがお気に入りみたいで一緒に遊びに来たんだけど、すぐにどこか行っちゃうんだ。まあ腹が減れば戻ってくるよ」
私はその笑顔にハッとした。
焦っていてよくわからなかったけれど、すごくかっこいい人だ。
毛先を遊ばせている黒髪に、大きめの瞳。
はにかんだように笑う顔は茶目っ気があるのに、自然体な姿には大人っぽい余裕を感じさせる。
たぶん私より年上で、大学生ぐらいの人。
「さがしてくれてありがとうね」
彼は自分の髪をくしゃりとしながらまた微笑む。
私はついドキッとして、なんだか早口になってしまう。
「そっ、そうだったんですか。じゃあ、あの、ケガしてたので帰ったら手当てしてあげてください。それじゃあ私はこれで」
私はきびきびと礼をして今度こそ森の方へと向かう。
その時、腕をギュッと掴まれ振り向かされた。
「待って。森は危ないから送るよ。君の家は?」


